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2020.11.03更新

 

11月から小学校2年生までのインフルエンザワクチン助成がはじまり、多くのお子さんに来ていただいている状況です。

「全集中」「ワクチンの呼吸その壱の型」をしていただいて、泣かずに済む子や、やはり我慢できずに泣いてしまう子など様々です。でも、毎年やっているお子さんで前年よりずっと強くなっている子をみると「あー成長してるんだなー」と嬉しくなります。
とても怖いと思っているものが、やってみるとそんなに大したことでは無かったなと乗り越える経験は、子どもにとっていい面もあるように思います。

 

 

さて、10月には新潟で行われた第61回臨床ウイルス学会に参加しました。といってもオンラインでの参加ですので、実際には新潟の美味しい物は食べられませんでしたが。

 

臨床ウイルス学会

 

 

で、その中でもやはり大きなトピックはコロナウイルスです。印象に残ったのは、最近では接触感染よりも、空気感染を含む飛沫感染というルートを気をつけるべきと言う発表でした。

一般的に飛沫感染というと、咳、くしゃみなどが空中に跳んで長くても2メートルぐらいの範囲に落ちる。その飛沫が粘膜について感染するという理解かと思います。

 

国立病院機構仙台医療センター・西村秀一先生はクラスターの発生は「接触感染」の要素よりも「空気感染」の方が重要という発表をされていました。
咳とかくしゃみから発生する水滴の粒子は、すぐに落ちてしまう大きな粒子からふわふわと空中に数時間漂い続ける小さな粒子まで様々な大きさがあります。ふわふわ浮く小さい粒子をエアロゾルと言うそうで、学術的にはマイクロ飛沫という言葉はないそうです。

 

 

最近、こういった小さな粒子(エアロゾル)の中には活性のあるウイルスが含まれることが分かってきているとのことです。マイクロ飛沫というイメージよりより長時間、気流にのって比較的長い距離跳ぶそうです。

 

 

なるほど、合唱団などでかなり距離の離れた人同士の感染が起こるのもこの理屈で納得です。また、中国のレストランで気流にそって感染が広がったのも、空気感染だからでしょう。

 

レストラン

 

エアロゾルのリスクを下げるのは一番に「換気」です。
私たちにできるのは「3密を避けること」ですが、なかでも換気の重要性はこれからの季節いっそう重要になってくると思われます。

 

寒くなりますが、頑張りましょう。

 

 

2020.10.27更新

 

もうすぐ、11月ですね。今年はコロナのせいか時間の経過が速い気がします。いろんな行事がないせいでしょうか。

 

インフルエンザワクチンも10月から接種開始しています。11月から小学校2年生までが江東区の助成がでる関係でか当院ではややゆっくりなスタートになっているようです。
土曜日の午後をインフルエンザワクチン専用外来としていますが、今のところお待ちいただく時間も少なく順調にやらせていただいています。

 

インフル空き箱

 

 

秋から冬に向かうと、寒くなるのと同時に乾燥の季節にもなってきます。そんな時期に来院していただくことが増える病気の1つが赤ちゃんの湿疹です。これには乾燥が大きく関係していると言われています。

赤ちゃんのホッペがカサカサしても大したことではないと考えるかも知れません。でも、最近では食物アレルギーや、アトピー性皮膚炎は乳児期の肌荒れから始まるという説が有力なのです。

実際、花粉症をはじめとするアレルギーの病気をもったご家族のお子さんに、生後すぐからしっかり保湿剤を使用したスキンケアすると将来的にアレルギーの病気がでにくくなるというデータがあります。

皮膚は乾燥することで、そのバリアとしての機能が落ちて外界から皮膚にアレルゲンが入り込みアレルギーができあがるのです。(これを経皮感作と言います)

赤ちゃんの湿疹は軽そうに見えても、しっかりスキンケアをすることが重要な理由はここにあります。

 

とくに、赤ちゃんが湿疹をかゆそうにする仕草をするようになったら要注意です。早めにご相談ください。

 

2020.10.19更新

 

新型コロナウイルスの世界での流行状況をみていると、やはりマスクをしている国と、マスクを嫌がる文化の国で差が出ているように思えてしまいます。

 

西洋では、口を隠すと表情が読めないのでマスクを嫌がるのだという話があります。

そのことの真偽は分かりませんが、今この流行が起こっているのですからそういった文化の比較をしていても仕方がありません。
あくまで、その効果は検証されたデータでその差を知りたいところです。

 

マスクの効果ですが、それも種類によってもだいぶ違いがありそうです。これについてはスーパーコンピュータ「富岳」によるシュミレーションで出したデータのまとめが以下の通りです。

 

マスクの比較

 

最近テレビでマウスシールドをよく見かける様になりましたが、真似をする人が増えたらと思うと怖いですよね

 

 

麻生のマスク

 


また、コロナは空気感染の可能性も言われています。おそらく、使用している方はそのような意識もないのではないでしょうか?

私たちの日常ではマスクの種類に気をつけ、それをしっかりフィットさせて使いましょう。

 

 

2020.10.17更新

 

我が家の末っ子は今年中学1年生男子。子どもは3人で、みな性格も違いますが仲良しです。赤ちゃんの時はなかなか笑わないで、難しい顔をしていることが多い子でした。

幼稚園の頃は、あまりにしゃべっている感じがないので妻は「おとなしすぎる」のではないかととても心配していました。しかしながら、小学校になると、教室で積極的に発言しているとのことで、安心しました。

 

 

でも、この子について今も続いている心配はナッツの食物アレルギーがあることです。
ナッツが入った物で腹痛などアレルギー症状が出てしまいます。

 

もちろん、アナフィラキシーが心配なのでエピペンを持たせています。アナフィラキシーとは急激に強いアレルギー反応が起こることで、ひどいとアナフィラキシーショックになり時として命に関わることがある状態です。

エピペンはそんなアナフィラキシーの治療として用いる注射で自分、あるいは保護者が打つことになります。

アナフィラキシーは急激に症状が進行することがあるので、救急車を呼んでも手遅れになる可能性があるから、症状がでてからなるべく早く打つ必要があります。

 

もうしばらく前になりますが、調布で牛乳アレルギーの小学生のお子さんがチーズ入りのチジミを給食で食べて亡くなったということがありました。残念なのは、そのお子さんはエピペンを処方されていたのに、使うタイミングを逃してしまったと言うことです。

その事例をうけて以下の13の症状があったら必ずエピペンを使用しましょうと小児アレルギー学会が発表しています。

 

エピペン

 

 

でも、これを見ても具体的にタイミングがわからないかも知れません。
皮膚症状だけで終わる印象だったら大丈夫かも知れませんが、機嫌が悪くなってきたりしたら要注意です。

 

エピペンは打つことによる副作用は小児に使う際にはほぼ無いと考えて良いです。

 

たしかに注射をするというのは勇気が必要です。
でも迷ったら「エピペンを打つ」を選択してください。

 

 

2020.10.08更新

 

中秋の名月も過ぎました。今年はお団子を食べるのを忘れてしまい残念です。

 

中秋の名月

 

さて、以前漢方薬を全く信じていなかったという話を書きましたが、その続きです。

 

国立小児病院アレルギー科勤務の時には他の一般病院では滅多に見ないような重症のアトピー性皮膚炎患者さんが集まっていました。西洋医学的治療で治り切らない患者さんには漢方をいくつかトライしてみましたが、なかなか効果が出ませんでした。漢方治療の中でも皮膚の治療は難しいものの1つなのではと思います。なにせ、良くなっている、良くなっていないが一目瞭然なわけですから。

 

ところが、ある日バイト病院でお子さんを連れてきたお母さんが「手の湿疹がひどくて冬は切れてしまうし、かゆみもひどいんです」とおっしゃるのである漢方薬を処方しました。2週間後いらしたとき、お母さんはなんか怒っているような様子で、「あの薬何が入っていたんですか?」と。えーーっと戸惑いながらみると手がすっかり綺麗になっているではないですか。
どうも、私が内緒でつよい薬を処方したように思われたようです。

 


その後もやはり重症のアトピー性皮膚炎の男子中学生の患者さんに皮膚の症状に効果がある教科書に書いてある漢方をいくつもトライして効果無く、最後には体質改善の漢方で急に良くなったりも経験しました。

それからは、いろいろな場面でも漢方の効果を実感し、その奥深さにはまっていったのです。

 

例えば、夜泣きのお子さんには西洋薬で処方する薬はあまりありません。しかし漢方では保険で適応症に入っているものだけでも、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、甘麦大棗湯、柴胡加竜骨牡蛎湯といくつもあります。

 

いまはコロナのため無くなっていますが、小児の漢方の勉強会も出席できるものがあれば、大阪、名古屋などよく出かけていました。そんななかで、仲間も沢山出来ました。やはり勉強には仲間が必要ですね。
ちなみにですが、薬剤師の妻も漢方認定薬剤師だったりします

 

西洋薬と、伝統医学の薬の両方を処方できるのは、世界でも珍しい医療保険制度が日本です。
西洋薬では手の届かない病気もあきらめる必要が無いのです。 

 

 

2020.10.01更新

 

新型コロナがこんなに流行して、世界中が変わってしまうことなど、去年の今頃想像できたでしょうか。
それに比べれば、もうあまり驚くこともない気がしますが、今回の知らせはややびっくりでした。

 

 

10月からインフルエンザワクチンしますよと皆さんにお伝えしていたのに、その1週間前の金曜日の夕方突然生後6ヶ月から小学校2年生まで、11月から無償になるとFAXが入りました。

小さいお子さんをお持ちのご家庭には朗報です。
是非、多くのお子さんにワクチンを受けていただきたいと思っています。

 

インフル

 

 


すでに、10月からの電話予約時間で接種の予約を入れていた皆様には順次電話にて、予定変更などご説明させていただくことになりました。

 

ただ、ワクチンが不足してしまうのでは無いかという不安が高まります。
コロナのこともあり、当初から需要は増えるのではと考えられましたが、さらに無償となるとどのくらいの数ワクチンが必要なのか見当がつきません。

 

 

当院では、ワクチン、健診、アレルギー相談、いつもの薬などは電話予約枠として時間を設けさせていただいていますが、インフルエンザワクチン目的の方が増えることでほかの定期接種や健診の受けられないお子さんが出るのも懸念されます。

 

そこで、急ではありますが、10月10日(土曜日)の午後から、しばらく毎週土曜日の午後はインフルエンザワクチン専用外来とさせていただこうと考えています。

専用外来では、風邪などの症状がある方、他のワクチンやアレルギー相談等はお受けできなくなりますが、これもコロナ流行下での特殊事情としてご理解いただければと考えています。 

もちろん、ウイークデーの一般診察時間内でもインフルエンザワクチンの接種はさせていただきます。

専用外来の予約は当日朝8時から、いつもの当院の予約システムで順番が取れます。

 

 

2020.09.25更新

 

天高く馬肥ゆる秋ということで、そろそろ食べ物も美味しいものがでてきますね。 
ただ、大好きなサンマがあまり取れないということで残念な今年です。

 

また秋になると、夏の間に増えたダニが死に、それがアレルゲンとなって喘息、アレルギー性鼻炎が増悪する季節でもあります。
この室内でアレルギーを起こすダニは目に見えないほど小さく、人の肌を刺したりすることは出来ません。

 

でも、秋に「ダニに刺されたかも」とかでいらっしゃる患者さんに見られるのが「チャドクガ」の毒針による皮膚炎です。

チャドクガ

 

かゆみの強い、赤いぽつぽつが露出部だけでなく、お腹や背中にも見られます。
毛虫が、その毒針を空中に飛ばしそれが触れた皮膚に発疹ができ、服の中に入れば衣服についた毒針が広範囲に触れることで発疹はかなり広がります。

 

チャドクガの幼虫の毛虫は、茶の葉、ツバキ、サザンカにつきますので、
お話を聞くと、たいていが公園で遊んだあとなので、それで診断がつくことも多いのです。

 

毛虫と聞くとイメージとしては春先を思い起こしますが、チャドグガの幼虫は年2回、5月〜6月と、8〜9月に出現します。

 

いまは、チャドクガの皮膚炎の季節でもあるのです。

 

 

2020.09.13更新

 

やっと過ごしやすい気温になってきた様子ですね。

9月11日に厚労省からインフルエンザワクチンはまず高齢者を優先し、それ以外の方は10月26日以降にという通達がでました。

インフル優先

 

コロナ流行下でまず高齢者をまもる必要があるのは確かに間違いの無いところです。

 

 

では、小児ではいつ打つのが良いのか?ということについて、どう考えるかを書いてみたいと思います。

 

1.例年のインフルエンザ流行はいつからいつまで。


 例年のインフルエンザの流行は11月下旬から少しずつでて、12月半ばにはやや目立つようになり、本格的になるのは1月2週目ぐらいからというのが実感です。

 

インフル流行状況

 


2.インフルエンザワクチンの効果はいつから出て、どのくらい続くのか


 インフルエンザワクチンで1回目の接種から2週間ぐらいで抗体が上昇してきて、約5ヶ月その効果が続くと言われています。また、1回目と2回目は2週間よりも4週間の方が若干抗体の上昇が良いようです。

 

ですので、10月下旬から11月上旬に1回目のワクチンを打ち、2回目はその2−4週後に2回目を打つことをお勧めしています。

 

 

コロナの影響はどうなるのか?ですが、


 コロナの心配があるこの時期に、インフルエンザワクチンを打っておきたいと思う方が増えるかも知れません。でも、今年はワクチンは例年以上に作られているので、おそらくは不足は起こらないだろうというのが目下の予想です。焦って、早く打つ必要はないのではと思っています。

 

当院では、なるべく体調の良いときに接種していただきたいと考えていますので、あえてインフルエンザワクチンについては予約制とはしてません。電話予約の時間帯、あるいは一般外来での順番予約のなかで接種させていただきます。

 


ちなみに、卵アレルギーについての質問を受けることもありますが、最近の日本のインフルエンザワクチンに含まれる卵の抗原の量はアレルギー反応を起こす量よりかなり少ないので接種出来ることが多いです。ご相談ください。

 

 

2020.09.08更新

まだまだ、残暑が厳しく、大型の台風がつづいたりして大変な状況ですね。

そうは言っても9月。暦の上では秋になるのでしょうか。そろそろ冬の準備をしなければいけません。当院でも10月からインフルエンザワクチン接種を開始します。

インフル供給

冬に向かう時期、勤務医の時代の冬の当直を思い出します。
朝からの仕事が終わって午後の5時から当直の時間帯に入ります。当直の時間帯は冬は朝までに25人ぐらいの患者さんが救急室に来ていました。朝までに1−2時間でも仮眠が取りたいところですが、たいていは救急車のサイレンで起こされてしまいます。

 

救急車でいらっしゃる小児科の患者さんで多いのが「けいれん」です。熱性けいれんという小児に多い良性のけいれんがほとんどなのですが、ときとして15分以上もけいれんが止まらず意識が回復しないこともあります。そうなると、点滴をしながらけいれん止めの薬をつかったりして入院になることもしばしばでした。

 

とくに、冬のインフルエンザが流行る時期は、けいれんの患者さんが多くなるのです。お子さんのけいれんが長引いたり、意識がなかなかもどらない場合、単に熱性けいれんなのか、インフルエンザ脳症なのか判断が難しいことがあります。熱性けいれんは小児の7%に見られる比較的よくある病気で、後遺症も残しませんが、インフルエンザ脳症は年間数百人しかでませんが、小児の比率が多く 死亡率が高く重篤な病気です。

 

けいれんは、熱がでてすぐに起きてしまうことも多くいくらインフルエンザの良い薬があっても間に合いません。

今年はさらにコロナウイルスの関係で、発熱早期にインフルエンザを診断することが難しくなるかも知れません。

 

インフルエンザワクチンが確実に脳症を防ぐ証拠はありませんが、やっておくに超したことは無いと思います。国内で高齢者を対象に行われた研究では、死亡の危険を5分の1に、入院の危険を約2分の1から3分の1に減少できたと報告されています。

 

 

我が家も3人の子どもがいますが、毎年ワクチンはやっています。
子どもが経済的な面も気になるところです。今年も昨年に引き続き、お子さんが3人以上の場合、当院では特別割引きとして、3人目以降のお子さんは1回目、2回目とも1000円で接種します。

当院でインフルエンザワクチンは10月2日開始です。ワクチンは平年並みには確保できますので、焦らず接種のスケジュールを立ててください。

 

 

2020.08.28更新

 

3月からずっとコロナで正直疲れますね。

コロナ対策ももどうなっていくのか分からないし、今年も期待していた渋野日向子の全英女子オープンも残念な結果でした。

どんよりとした空気感です。

 

こんな空気感はなかなか変えられませんが、室内の空気は換気で変えられます。

 

CO2a

 

今回は、コロナ対策として最も重要かもしれない換気対策です。
3月ぐらいからマイクロ飛沫という単語を良く耳にします。

 

普通、飛沫というと、口からでて落下するもので、それを根拠にソーシャルディスタンスが言われているのですが、マイクロ飛沫というのはもっと小さい粒子でふわふわと比較的長時間空中に漂うものを意味しています。

 

なかなか落下しない粒子ですが、換気は有効です。

 

ただ、問題なのは換気がどのくらい行われているかというのがなかなか見えずらい点です。

 

当院では、窓を開けての営業もしていますし、待合室と、診察室の天井に1台ずつ大型の空気清浄機があります。
この空気清浄機は、高性能のフィルターがついていて、それも定期的に交換しているかなり強力なものです。 

空気清浄機

 

 

そこで、当院ではCO2(二酸化炭素)の測定器を導入してみました。これが、換気の目安になります。

 

実際に測定してみたところ、診察室では患者さんとスタッフ合わせて5分以上しても600ppmから800ppm ぐらいで、待合室では600から700 ppm 程度でした。

 

換気基準

 

労働現場の基準値とされる1001〜1500 ppmに届かない様子です。

試しに窓が少しでも開いているのと、開いていない状態を比較すると200ppmぐらい違ってきます。

まだまだ暑い日が続きますが、がんばって窓開放で診療していきますので、よろしくお願いします。

 

 

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