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2021.04.23更新

 

医療従事者のコロナワクチン接種が江東区でも4月19日から始まりました。いよいよ、ゴールデンウィークを目前にしてコロナの感染者数が増加してきました。

 

この増加の一因として言われているのが、コロナ変異型です。変異型は感染力が強くなり小児にも感染が広がる可能性もあり、大いに気になるところです。

 

 

さて、変異型とはどういうものでしょうか。

ちょうど、先日NHKスペシャル(「新型コロナ 全論文解析2〜AIで迫る 終息への道〜」)で特集していましたので、それにそって説明させていただきます。

 

変異型1

 

変異とは、ウイルスが自分の複製を作る際に偶然おこってしまうコピーミスです。 

 

ウイルスが人間の細胞に接着するときに利用するスパイク(突起)に起こる変異がたまたま起こるとこれが問題で、人間の細胞のACE2レセプターにくっつきやすくなり感染性がアップするのです。

変異の名称ですが、たとえばスパイク蛋白の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)であるはずが、Y(チロシン)に変わっているとN501Yと呼びます。

で、どのような変異をもった株がいままで知られているかというと、

 

 

B1.1.7 (イギリス株) N501Y HV69/70 P618H

 

B.1.351 (南アフリカ株) N501Y E484K

 

P.1 (ブラジル株) N501Y E484K

 

B.1.617 (インド株) L452R E484Q

 

 

で、特に日本で問題になっている変異はN501Yで、この変異を持っているとウイルスが細胞のACE2レセプターにつきやすくなり、感染力が増します。

これがイギリスで感染が再び増加した原因です。


また、
E484Kを持っている変異があると、免疫を逃れる性質があると言われています。

 

これらの変異が二重に起こって困った例が、ブラジルで起きました
ブラジルのアマゾン河のほとりにあるマナウスという街では、去年の春に従来型のコロナが大流行して住民の7割が感染し5000人以上の死者がでたそうです。その後感染爆発は収束し、一旦落ち着き集団免疫が出来たかに見えました。しかし、その12月から感染者数が増加し、その中には多くの「2度目の感染」の人が現れたとのことです。つまり、一度感染して抗体ができても、その免疫を逃れるE484K変異をもつブラジル株がこれです。

変異2

 

変異3 

今はN501Yの変異だけを持っている株が東京でも増えている訳ですが、今後はN501YとE484Kの両方をもった南アフリカ株、インド株が増えることも考えられ、より強力になる可能性もあるのです。

 


ではこの変異型に現在あるワクチンは効果があるのでしょうか

 

 

結論から言うと、おおよそ効果は保たれると言われています。

変異4

 

事実として、ワクチン接種が進んで感染者が劇的に減っているイスラエルでは、接種前に流行していたのはN501Y変異をもった株だったと言うことです。


RNAワクチンは抗体を産生するだけでなく、キラーT細胞も活性化できる効力をもっているので、抗体が効きにくいE484K変異をもったウイルスにも効果があると言うことです。

 

変異5

 


変異型が流行すると今後の流行予測は?

では、ワクチンがこのままのペースで順調に打たれれば、流行は収束するのでしょうか?という疑問ですが、残念ながら内閣官房のシミュレーションプロジェクトで感染予測をされている倉橋節也教授のシミュレーションでは第5波も避けられないようです。

 

変異6

 

感染が広がれば小児でも重症者が増えるかも知れません。本当に油断できない状況になってきました。

 

 

2021.04.21更新

 

先日、NHKスペシャルの「看護師たちの限界線」という番組を見ました。東京女子医大病院のICUに勤める看護師さんたちを5ヶ月の長期密着して取材したものです。

 

看護師

 

 

主に2人の看護師さんに密着していましたが、まさに過激な現場で12時間労働で、その間わずかしか休憩が取れず闘っている様子を映していました。1キロ近いガスマスクをつけ、全身を予防着で覆いながらの患者さんのケアは見るだけで過酷なのが分かります。
感染対策のために、近くのホテルに一人で生活しながらずっとそのような勤務を繰り返し、そしてボーナスは半額になってしまう。

看護師ー給料

 

高い使命感をもっていても、これで燃え尽きない方がおかしいといえます。一人はストレス性胃潰瘍で出血し、休職。もう一人の看護師も離職の追い詰められました。

医療者にとって、病気の患者さんが快方に向かい笑顔をみせてくれることが最大の喜びになるはずです。それが、入院して最初は数日で退院できると期待しながら話していた患者さんがあれよあれよという間に悪化、そして亡くなってしまうというような状況を繰り返し経験するとかなり辛いと思います。

 

そんなことが、何回も、そして1年以上もずっとずっと続いているのです。

 

4月、そんな職場に10人の新人看護師が配属されています。希望を胸に卒業した彼らが燃え尽きること無いことを切に願わずにいられません。

 

この番組を見て、「もっと交代制にすればいい」とか「休職している看護師を募集したら」とか思うかも知れません。でも、大学病院にいた当院のスタッフにこの話をすると、きつくて潰れてしまいそうな現場に配置換えをされる話がでると多くの人が、「それなら退職して他に行きます」と言うとのことです。

 

それは当然のことに思えます。生き死にが関係する職場という意味では彼らは戦場にいく兵士のようなものなのです。病床は簡単には増やせません。使命感だけでは、このコロナは乗り切れないのです。


皆で協力してコロナの感染を止めなければ限界はくるのでしょう。

 

2021.04.03更新

 

日本脳炎のワクチンが不足してご心配をおかけしています。

ワクチンの製造過程での問題で、本年4月からの出荷が停止されていて、新しく出てくるのが、12月以降になるとのことです。

しばざくら

 

 

日本脳炎はどんな病気でしょうか。

 

 

日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症で、ヒトに重篤な急性脳炎を起こします。感染しても実際に発症するのは100人から1000人に1人と言われています。しかし急性脳炎になるとと高熱・頭痛・嘔吐・意識障害やけいれん等の症状がでて、致死率も20−40%と高く、重度の後遺症が残る割合も多いのです。

 

 

発生頻度は国立感染症研究所の報告によれば、年間で多くても日本全体で10例以下であることが多いようなので、決して多い病気ではありません。

日本脳炎発生動向

 


この病気はコガタアカイエカによって媒介され、ブタ-蚊-ブタの間で感染環を形成しています。豚は感染しても症状はありませんが、ヒトにおいては、日本脳炎ウイルスに感染した100~1,000人に1人が脳炎症状を発症すると報告されています

 

日本脳炎ウイルスを持っているブタを刺した蚊が飛んできて、その蚊に刺されると感染しますので、ヒトーヒト感染はありません。

 

日本脳炎ーブタ

 

従って、ブタと蚊の存在がなければ感染しないのです。一般に日本脳炎ウイルスは西日本のブタに多く感染しています。
実際に以前は、北海道では日本脳炎ワクチンはほとんど打たれていませんでした。

 

夏の蚊の多い時期にそのような所に行く機会がある人はとくに注意が必要と言えます。 

 

東日本では比較的稀な病気と言えるでしょうが、旅行で、西日本やアジア諸国に行ったりする可能性もあるので接種はお勧めです。

接種が遅れて接種の期間が空いてしまっても次の接種は有効で免疫はできますので、最初からやり直す必要はありません。出来る状態になったらなるべく速やかに打ちましょう。

 

 

2021.04.03更新

 

日本脳炎のワクチンが不足してご心配をおかけしています。

ワクチンの製造過程での問題で、本年4月からの出荷が停止されていて、新しく出てくるのが、12月以降になるとのことです。

しばざくら

 

 

日本脳炎はどんな病気でしょうか。

 

 

日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこるウイルス感染症で、ヒトに重篤な急性脳炎を起こします。感染しても実際に発症するのは100人から1000人に1人と言われています。しかし急性脳炎になるとと高熱・頭痛・嘔吐・意識障害やけいれん等の症状がでて、致死率も20−40%と高く、重度の後遺症が残る割合も多いのです。

 

 

発生頻度は国立感染症研究所の報告によれば、年間で多くても日本全体で10例以下であることが多いようなので、決して多い病気ではありません。

日本脳炎発生動向

 


この病気はコガタアカイエカによって媒介され、ブタ-蚊-ブタの間で感染環を形成しています。豚は感染しても症状はありませんが、ヒトにおいては、日本脳炎ウイルスに感染した100~1,000人に1人が脳炎症状を発症すると報告されています

 

日本脳炎ウイルスを持っているブタを刺した蚊が飛んできて、その蚊に刺されると感染しますので、ヒトーヒト感染はありません。

 

日本脳炎ーブタ

 

従って、ブタと蚊の存在がなければ感染しないのです。一般に日本脳炎ウイルスは西日本のブタに多く感染しています。
実際に以前は、北海道では日本脳炎ワクチンはほとんど打たれていませんでした。

 

夏の蚊の多い時期にそのような所に行く機会がある人はとくに注意が必要と言えます。 

 

東日本では比較的稀な病気と言えるでしょうが、旅行で、西日本やアジア諸国に行ったりする可能性もあるので接種はお勧めです。

接種が遅れて接種の期間が空いてしまっても次の接種は有効で免疫はできますので、最初からやり直す必要はありません。出来る状態になったらなるべく速やかに打ちましょう。

 

 

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