医療従事者のコロナワクチン接種が江東区でも4月19日から始まりました。いよいよ、ゴールデンウィークを目前にしてコロナの感染者数が増加してきました。
この増加の一因として言われているのが、コロナ変異型です。変異型は感染力が強くなり小児にも感染が広がる可能性もあり、大いに気になるところです。
さて、変異型とはどういうものでしょうか。
ちょうど、先日NHKスペシャル(「新型コロナ 全論文解析2〜AIで迫る 終息への道〜」)で特集していましたので、それにそって説明させていただきます。
変異とは、ウイルスが自分の複製を作る際に偶然おこってしまうコピーミスです。
ウイルスが人間の細胞に接着するときに利用するスパイク(突起)に起こる変異がたまたま起こるとこれが問題で、人間の細胞のACE2レセプターにくっつきやすくなり感染性がアップするのです。
変異の名称ですが、たとえばスパイク蛋白の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)であるはずが、Y(チロシン)に変わっているとN501Yと呼びます。
で、どのような変異をもった株がいままで知られているかというと、
B1.1.7 (イギリス株) N501Y HV69/70 P618H
B.1.351 (南アフリカ株) N501Y E484K
P.1 (ブラジル株) N501Y E484K
B.1.617 (インド株) L452R E484Q
で、特に日本で問題になっている変異はN501Yで、この変異を持っているとウイルスが細胞のACE2レセプターにつきやすくなり、感染力が増します。
これがイギリスで感染が再び増加した原因です。
また、
E484Kを持っている変異があると、免疫を逃れる性質があると言われています。
これらの変異が二重に起こって困った例が、ブラジルで起きました
ブラジルのアマゾン河のほとりにあるマナウスという街では、去年の春に従来型のコロナが大流行して住民の7割が感染し5000人以上の死者がでたそうです。その後感染爆発は収束し、一旦落ち着き集団免疫が出来たかに見えました。しかし、その12月から感染者数が増加し、その中には多くの「2度目の感染」の人が現れたとのことです。つまり、一度感染して抗体ができても、その免疫を逃れるE484K変異をもつブラジル株がこれです。
今はN501Yの変異だけを持っている株が東京でも増えている訳ですが、今後はN501YとE484Kの両方をもった南アフリカ株、インド株が増えることも考えられ、より強力になる可能性もあるのです。
ではこの変異型に現在あるワクチンは効果があるのでしょうか
結論から言うと、おおよそ効果は保たれると言われています。
事実として、ワクチン接種が進んで感染者が劇的に減っているイスラエルでは、接種前に流行していたのはN501Y変異をもった株だったと言うことです。
RNAワクチンは抗体を産生するだけでなく、キラーT細胞も活性化できる効力をもっているので、抗体が効きにくいE484K変異をもったウイルスにも効果があると言うことです。
変異型が流行すると今後の流行予測は?
では、ワクチンがこのままのペースで順調に打たれれば、流行は収束するのでしょうか?という疑問ですが、残念ながら内閣官房のシミュレーションプロジェクトで感染予測をされている倉橋節也教授のシミュレーションでは第5波も避けられないようです。
感染が広がれば小児でも重症者が増えるかも知れません。本当に油断できない状況になってきました。