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2021.08.26更新

デルタ株の勢いは止まってきているのでしょうか? それとも、検査数が足りていないので感染者数は見かけ上増えていないのでしょうか。

 

重症者数の伸びも止まっているようにも見えますが、東京都独自の重症者数の定義は、人工呼吸器につながられているかどうかなので、本当に増えていないのかは分かりません。

さて、小児のコロナ患者数が増えている中、さしあたって今すぐ出来ることをは、3つ。

 

1つめはワクチン

 当院でもコロナのワクチンを行っていますが、配布されるワクチンはわずかな数で、電話予約はすぐに一杯になってしまいます。


 大変に申し訳ありませんが、コロナワクチンナビ  https://v-sys.mhlw.go.jp とかで、予約の開いている所を調べていただければと思います。

事情によっては、住民票がある地域以外でも打てる可能性もあります。

 

 

都内在住、在勤・在学の16〜39歳の方を対象に「東京都若者ワクチン接種センター」も開設されました。こちらは予約不要です。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/coronavaccine/wakamono_center.html

 

 

江東区の集団接種の余剰ワクチンが出た場合、当日LINEでお知らせがくるようです。

https://www.city.koto.lg.jp/291101/yojou_line.html

 

 

妊婦の方へのワクチンの情報もあります。
https://www.city.koto.lg.jp/291101/ninp.html

 


2つめは換気の見直し

新型コロナウイルスは、飛沫感染、接触感染で広がるというのは、既に昨年から皆さんご存じかと思います。
でも、意外に一般に浸透していないのは、多くの専門家が接触感染よりは飛沫感染の危険性が高い、とくに「マイクロ飛沫」は空気感染に近いので十分な注意が必要と考えるようになっていることです。

 

アクリル板は飛沫を防ぐかも知れませんが、かえって空気の流れを邪魔して換気がうまくいかなくなることも考えられます。

 

 

今流行っているデルタ株はよく知られるように従来株の1,5倍から2倍の感染性を持っていて、それは水痘なみとも言われています。水痘は空気感染する病気です。

水痘は電車の同じ車両に乗っているだけで、遠く離れていても感染してしまう病気です。

 


今回のデルタ株でも「どう考えても空気感染だろう」というような事例が増えているようです。

 

一定時間、同じ部屋で、マスクを外すことがリスクだと考える必要があります。アクリル板があっても換気が充分でない同じ部屋でランチはやめましょう。

CO2モニターで換気の状態の評価もお勧めです。

 

CO2 monitor

 

3つめはマスクの見直しです

  いま、不織布マスク以外を使用している方がまだいるとしたらすぐに不織布マスクにしてください。


 デルタ株は感染者からでるウイルス量は1000倍以上と言われていますので、これまでは充分とされていたマスクでも通用しない可能性があります。

masuku

 

先日、ユニクロのマスクをつけている保護者の方に、不織布マスクをお勧めしたところ、99%カットすると思っていたと言われました。

 

 そこで、ユニクロのサイトをみたら

※1:マスクは感染を完全に防ぐものではありません
・(初期値)バクテリア飛沫捕集‥(BFE) 99%カット※2
・(初期値)花粉粒子捕集効率‥99%カット※3
試験機関:一般財団法人カケンテストセンター※2:ASTM F 2101 バクテリア飛沫捕集(ろ過)効率試験※3:花粉粒子捕集(ろ過)効率試験

と書いてありました。

 

ちなみに空気中に浮遊する粒子の大きさは花粉で20〜45μm、黄砂は0.5〜5μm、大腸菌は. 0.5〜3μm、インフルエンザウイルスは0.08〜0.12μm、コロナウイルスは0.1μmと言われています。


 つまり、このマスクはコロナウイルスを防ぐとは言えないわけです。

 

私はユニクロは好きですし、昨年のマスク不足の時には大変ありがたかったとは思いますが、、、

 

2021.08.17更新

 

いよいよデルタ株が猛威をふるっている様子です。東京はすでに医療崩壊していると言われています。

医療崩壊というと「コロナの中等症でも入院できない」というのが頭に浮かぶわけですが、実際には、他の病気の治療も出来ないことも大きな問題です。

 

コロナ急増

 

 

ここに来て、私が小児科医として気にかかるのは今回のデルタ株が小児にどう影響するかです。
以下で懸念点を挙げてみようかと思います。

 

1.小児も感染しやすくなるのか

デルタ株は患者さんが持っているウイルス量がこれまでの株の1000倍以上と言われていますから相当感染力が強いと考えられます。

デルタ株がこれまでの株より小児に感染しやすいかどうかはまだ分かっていません。

しかしながら、全体の感染者数が増えると、割合は低いながらも小児の患者総数も増えてしまいます。

 

実際、アメリカのデータでは小児の患者数が増えて来ていて、9月の新学期をどう迎えるかが大きな議論になっているようです。

これは、アメリカの小児コロナの入院数のグラフで最近急増しているのが分かります。

 

アメリカ増加



2.小児が他人に感染させやすくなるのか

これまでは、小児は「罹りにくく、罹っても軽症、他の人に伝染させる可能性も低い」と考えられていました。実際、感染者の8割以上が家族内感染だったからそのように言われていたのだと思います。
しかしながら、最近、保育園や、学校、塾などでクラスターとも呼べるような大人数の感染が多く報告されているので、集団での子ども同士の感染の広がりもあると考えるのが妥当でしょう。

 

3.小児も重症化するのか

これまで、幸いにも小児は症状が軽いことが多かったわけですが、アメリカでは入院するような症例数も増えているのは事実です。

アメリカ入院

 

年齢層で言うと、特に1歳未満は重症化しやすいことが知られています。

 

4.予防、治療があるのか

ワクチンはアメリカで現在ファイザー社が12歳未満について治験を行っているようですが、秋以降、おそらく年末ぐらいまでにはアメリカでも承認になるという話です。

治療については、コロナに対して承認されている4つの薬のうち、デキサメサゾン(ステロイド剤)とレムデシベル(抗ウイルス剤)は使用できます。
抗体カクテル療法は15歳未満はいまのところ使用が許可されていません。
もう1つの重症肺炎に使用するバリシチニブ(過剰な免疫を抑える免疫抑制剤)も使用できません。
つまり、4つの武器のうち、2つしか使用できないのです。

 

5.後遺症(ロングコビット)やMis-C(当初川崎病に似ていると言われた全身の血管炎)

コロナに感染したあとの後遺症も大人と変わらずあるようです。疲労感が抜けないとか、集中できないとか、体の痛み、嗅覚、味覚がなかなか戻らないなどです。これらは子どもの成長、発達、学習などいろいろな面で問題が大きいと言えます。
 
今のところ、日本ではMis-Cはあまり出ていないようですが、今後は分かりません。

 

6.幼稚園、保育園、学校などが、感染拡大の起点、中継点になる危険性

私が、外来をやっていて感じるのは「胃腸炎は保育園に行っているような小さなお子さんが起点になって家族に広がる」「インフルエンザは学校に行くような比較的年齢の高い小児が起点になって、他の年齢に広がる」ってことです。

これまでは、小児の集団生活から社会への拡散はあまり大きくなかった印象ですが、今後はどうなるのでしょうか。

 


というわけで、心配の種は尽きないわけです。 もうすぐ新学期が始まってしまいます。

 

 

2021.08.17更新

 

いよいよデルタ株が猛威をふるっている様子です。東京はすでに医療崩壊していると言われています。

医療崩壊というと「コロナの中等症でも入院できない」というのが頭に浮かぶわけですが、実際には、他の病気の治療も出来ないことも大きな問題です。

 

コロナ急増

 

 

ここに来て、私が小児科医として気にかかるのは今回のデルタ株が小児にどう影響するかです。
以下で懸念点を挙げてみようかと思います。

 

1.小児も感染しやすくなるのか

デルタ株は患者さんが持っているウイルス量がこれまでの株の1000倍以上と言われていますから相当感染力が強いと考えられます。

デルタ株がこれまでの株より小児に感染しやすいかどうかはまだ分かっていません。

しかしながら、全体の感染者数が増えると、割合は低いながらも小児の患者総数も増えてしまいます。

 

実際、アメリカのデータでは小児の患者数が増えて来ていて、9月の新学期をどう迎えるかが大きな議論になっているようです。

これは、アメリカの小児コロナの入院数のグラフで最近急増しているのが分かります。

 

アメリカ増加



2.小児が他人に感染させやすくなるのか

これまでは、小児は「罹りにくく、罹っても軽症、他の人に伝染させる可能性も低い」と考えられていました。実際、感染者の8割以上が家族内感染だったからそのように言われていたのだと思います。
しかしながら、最近、保育園や、学校、塾などでクラスターとも呼べるような大人数の感染が多く報告されているので、集団での子ども同士の感染の広がりもあると考えるのが妥当でしょう。

 

3.小児も重症化するのか

これまで、幸いにも小児は症状が軽いことが多かったわけですが、アメリカでは入院するような症例数も増えているのは事実です。

アメリカ入院

 

年齢層で言うと、特に1歳未満は重症化しやすいことが知られています。

 

4.予防、治療があるのか

ワクチンはアメリカで現在ファイザー社が12歳未満について治験を行っているようですが、秋以降、おそらく年末ぐらいまでにはアメリカでも承認になるという話です。

治療については、コロナに対して承認されている4つの薬のうち、デキサメサゾン(ステロイド剤)とレムデシベル(抗ウイルス剤)は使用できます。
抗体カクテル療法は15歳未満はいまのところ使用が許可されていません。
もう1つの重症肺炎に使用するバリシチニブ(過剰な免疫を抑える免疫抑制剤)も使用できません。
つまり、4つの武器のうち、2つしか使用できないのです。

 

5.後遺症(ロングコビット)やMis-C(当初川崎病に似ていると言われた全身の血管炎)

コロナに感染したあとの後遺症も大人と変わらずあるようです。疲労感が抜けないとか、集中できないとか、体の痛み、嗅覚、味覚がなかなか戻らないなどです。これらは子どもの成長、発達、学習などいろいろな面で問題が大きいと言えます。
 
今のところ、日本ではMis-Cはあまり出ていないようですが、今後は分かりません。

 

6.幼稚園、保育園、学校などが、感染拡大の起点、中継点になる危険性

私が、外来をやっていて感じるのは「胃腸炎は保育園に行っているような小さなお子さんが起点になって家族に広がる」「インフルエンザは学校に行くような比較的年齢の高い小児が起点になって、他の年齢に広がる」ってことです。

これまでは、小児の集団生活から社会への拡散はあまり大きくなかった印象ですが、今後はどうなるのでしょうか。

 


というわけで、心配の種は尽きないわけです。 もうすぐ新学期が始まってしまいます。

 

 

2021.08.03更新

 

臨床の砦

https://www.amazon.co.jp/臨床の砦-夏川-草介/dp/4093866112/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=36ZON1MEPLI5P&dchild=1&keywords=臨床の砦+夏川草介&qid=1627961614&sprefix=臨床の%2Caps%2C368&sr=8-1

 

暑いです。東京オリンピックが盛り上がる一方で、都内の感染者数も相変わらずの増加です。

都内の50歳台のコロナの患者さんが呼吸が苦しくなったとのことで救急車を呼んだところ、100カ所の医療機関に断られ8時間後に50キロ離れた病院に入院できたというニュースを見ました。

コロナ8時間

 

断った100の医療機関について、何とかすこし頑張れば1人ぐらい入院させられたのではと、一般の方は思うかもしれませんが、現場ではもはやそれも無理なのでしょう。
以前慈恵医大の分院で仕事をしていたとき、具合の悪い患者さんの転院先をみつけるのにやはり10時間ぐらいいろんな病院に夜通し電話を掛けたのを思い出しました。

多くの病院が既に飽和状態になってきたのではと心配してしまいます。

 

 

「臨床の砦」(夏川草介著)はまさにコロナを受け入れる立場にある病院の物語です。


長野県の病院でコロナ診療にあたっていた内科の先生が、今年の第3波をどう乗り切ったか、をリアルに描いています。
200人規模の中規模の病院という砦を使命感と献身的な戦いで護った「戦記」のようなものです。


思わず、何回も「分かる、分かる」とか「そうだよなー」と引き込まれて一気に読んでしまいました。

以下一部抜粋。

ーー医師の精神はそろそろ限界に近くなっている。
敷島は、そっと手元に視線を落とした。
虫垂炎の診断が二時間待ち。
肺炎患者は自宅で入院待機。
近隣の医療機関はいまだ準備が整わず、明らかに対応に遅れがある。
院内を顧みれば、コロナにかかわる医師も看護師もまともな休息が取れていない。
この状況で、今日もこの小さな病院に大量の患者が押し寄せてくる。
 すでに一年近くの長期にわたる消耗戦で確実に疲弊しているところに、過去に例のない圧倒的な大軍が迫っているということだ。
 敷島は、頭の中でひとつずつ問題点を数えあげ、やがて小さく嘆息した。
「この戦、負けますね・・・・」

 


ドキュメンタリーではないものの、小説だからこそ、1人の人間として医師たちが自分の家族も抱えながら、苦悩しながら必死で奮闘しているのが伝わってきます。

医療現場と、国、自治体、マスコミ、市民それぞれの温度差もよく描かれ、そんな中コロナ患者が家族に看取られることもなく孤独で悲惨な最後を遂げていく様子もリアルです。

現在、病床が逼迫してくるなか、本気で責任をもって最善策をとれるリーダーが改めて必要だと感じさせてくれる本でもありました。

日本はコロナに打ち勝てるのでしょうか?

 

 

 

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