新型コロナの自粛期間が延長になってさらにストレスのたまる日々が続いていますが、最近北里大学と花王がアルパカを使ったコロナに対する抗体を発見したとのニュースが入ってきました。これで、うまくいけば診断は容易になるでしょうし、治療薬の開発にも大きな期待が出来ると思います。
暗いニュースの中で一筋の光がみえた様な気がします。
私が慈恵医大を卒業する当時、免疫学の発見で日本人の利根川進先生がノーベル賞を受賞しました。それを見て感動したのをきっかけに免疫、そしてアレルギーの分野に進んだのですが、依然として免疫学の分野で日本が頑張っているのを大変にうれしく見ています。
抗体というのはなんでしょうか?
これは、外界から人体の中に侵入してくる病原体をやっつける免疫の武器の一つです。
この原理を応用して、ワクチンを打つことで体が抗体をつくり、病気になるべくかからないようにしていますし、血液で抗体を測ることで病気に罹ったかどうか診断も出来るのです。
当院はアレルギー科でもありますので、アレルギーの診断としてはIgE抗体の測定をすることも多いです。この抗体は昔は寄生虫から身を守る役割をしていたようです。寄生虫のいなくなった衛生的な国ではアレルギーの病気が増えていることが知られています。
ただし、食物アレルギーの診断では、このIgEの多い、少ないだけでは食べられるかどうか分からないのです。実際の診断は「食べてみないと分からない」のです。それを病院でやる場合 食物負荷試験と言います。食物負荷試験はアナフィラキシー反応が起こる可能性もあるので、当院でも十分に注意しながら実施していますが、将来このようなリスクのない診断ができるといいと思っています。
さて、このIgE抗体の発見も石坂公成先生。そう日本人です。
コロナウイルスも日本の知恵が世界に貢献できるといいですね。