新型コロナウイルスの流行は、寒い時期に始まり今も続いています。本来は年間でも最高のシーズンの筈ですが、もう少し辛抱する必要がありそうです。
さて、最近のニュースで欧州で子どもの新型コロナウイルスが川崎病のような症状を起こすことが報道されています。
開業直前まで勤めていた慈恵医大葛飾医療センターで、年間50例近くの川崎病の患者さんをみていたことを思い出しました。
川崎病は全身の血管に炎症がおこる病気で、特に困るのが心臓の周りにある冠動脈という血管にも炎症がおきて冠動脈瘤ができてしまうことです。冠動脈と言うのは心臓が心臓自身に酸素、栄養を配るために心臓の表面に張り巡らされている血管で、これが詰まってしまうと心臓が動かなくなって心筋梗塞という状態になります。
今ではまれですが、昔はそんなお子さんもいました。
もちろん、最近ではガンマグロブリン治療をはじめとして治療の進歩で、そうした子は減っています。
2019 年の全国調査では急性期に冠動脈に変化がでるのが8.9%、後遺症として残るのは2.6%とされています*。
1. 5日以上続く熱
2. 目の結膜の充血
3. 唇の赤み、亀裂
4. 不定形発疹
5. 手足の指先が赤くなったり、腫れたり
6. 首のリンパ節の腫れ
この6つの症状のうち多くを満たすものを川崎病と診断します。
他に特徴的な所見はBCG接種した部分が赤くなることです。
冠動脈瘤は熱が10日以上つづくと起こりやすくなりますので、早い診断、治療が必要なのです。
おかげさまで、慈恵医大葛飾医療センターで数多くの患者さんを経験させていただたので、特徴的な所見があればすぐに診断できます。でも、何の病気にもありますが非典型例もあります。いずれにせよ、高熱が長くつづいたときには注意すべき病気です。
以前に、知り合いのアメリカ人のお子さんが熱が下がらずメールで相談を受けたときのこと、その子は熱がつづいて手の指先の皮がむけたので、あちらのドクターに川崎病が疑われるといわれたというのです。手の指先の皮がむけるのは、熱がさがってから1−2週間してからなので、可能性はすくないことをお返事させていただきました。
そう、川崎病は東洋人に多い病気で、西洋人には少ない病気なのであちらのドクターは診たことがなかったのでしょう。
今度の新型コロナででた症状は果たして川崎病なのでしょうか? 興味のある所です。
参考
*https://www.jichi.ac.jp/dph/wp-dph/wp-content/uploads/2019/09/1bb34be7b6c9f852c1df45cc2ac4152c-1.pdf